「ダウンを褒めているのに、なぜかやる気になってくれない…」
「成果が出てない人を、どうやって承認しろって言うんだ…」
「最近、チームの雰囲気がギスギスしている気がする…」
ネットワークビジネスでチームビルディングに取り組むリーダーの多くが、「承認(褒めること)」の重要性は理解しています。
しかし、その「承認」のやり方を根本的に間違えているために、良かれと思ってかけた言葉が、逆にメンバーのやる気を削ぎ、組織の「心理的安全性」を破壊しているケースが後を絶ちません。
「承認」は、単なる「褒めテクニック」ではありません。
それは、メンバーの自己肯定感を育み、挑戦を恐れない「自走する組織」を作るための、リーダーが持つべき最も重要な「マインドセット」であり、チームの「文化」そのものです。
この記事でわかること
- チームを崩壊させる「間違った承認」と「正しい承認」の違い
- なぜ「承認」がチームの心理的安全性の土台となるのか
- 成果ゼロのメンバーをも輝かせる、最強の「承認」実践テクニック
危険! あなたの「間違った承認」が組織(チーム)をダメにしている

「すごいね!」「さすが!」…こうした言葉をかけているのに、なぜか組織が育たない。
それは、あなたの「承認」が、メンバーに「プレッシャー」と「不信感」を与えているからです。
「成果」だけを褒めるリーダーが、「成果が出ない自分」を責めるメンバーを生む
「契約1件おめでとう! すごいじゃないか!」
これ自体は悪いことではありません。
しかし、リーダーからの承認が「成果が出た時だけ」に集中すると、メンバーは無意識にこう学習します。
「成果を出さなければ、私はこのチームにいる価値がないんだ」と。
その結果、成果が出ない時期に強烈な自己否定に陥り、リーダーに相談もできず、静かに辞めていきます。
「他人との比較」で褒めると、チーム内に嫉妬と足の引っ張り合いが蔓遠する
「A君は今月10人も達成したぞ! それに比べてB君は…」
「C子さんを見習って、君も頑張れ!」
これは「承認」ではなく、最悪の「評価」です。
他人との比較による激励は、一時的に「負けてたまるか」という反骨心を生むかもしれませんが、長期的にはチーム内に「嫉妬」「焦り」「足の引っ張り合い」という最悪の文化を根付かせます。
組織はバラバラになり、チームワークは崩壊します。
「おだて(本心でない褒め言葉)」はすぐに見抜かれ、リーダーへの不信感に変わる
メンバーは、リーダーが本心で言っているかどうかを敏感に察知します。
「成果を出さないと辞められちゃうから、とりあえず褒めておこう」という下心からくる、中身のない「すごいね」「頑張ってるね」は、ただの「おだて」です。
「どうせ本気で言ってない」と見抜かれた瞬間、リーダーへの信頼は失墜し、何を言っても響かない関係性が生まれます。
なぜ今、MLM組織(チーム)に「承認のマインドセット」が不可欠なのか?

では、なぜ「正しい承認」がチームビルディングにおいて、これほどまでに重要なのでしょうか。
それは、承認が「やる気」を出すための燃料である以前に、組織の「土台」そのものだからです。
「承認」は、チームの「心理的安全性(何を言っても大丈夫)」を作る土台
「心理的安全性」とは、「このチームでは、失敗しても、馬鹿げた質問をしても、非難されたり罰せられたりしない」とメンバー全員が信じられる状態のことです。
リーダーが日頃から「成果」だけでなく、メンバーの「行動」や「存在」そのものを承認していると、「成果が出ていない自分でも、ここにいていいんだ」という安心感が生まれます。
この土台があって初めて、メンバーは失敗を恐れずに本音で相談し、挑戦できるようになります。
人は「認められた」と感じる場所(居場所)にのみ貢献しようとする
人は、論理やお金だけで動くわけではありません。
「このリーダーは、私のがんばりを見てくれている」
「成果が出ない時でも、私のことを気にかけてくれる」
そうした「自分の居場所はここだ」という感覚(=承認)を得られた時、人は初めて「このチームのために」「あのリーダーのために」と、金銭的報酬を超えた自発的な「貢献意欲」を発揮するのです。
自己肯定感が満されて初めて、人は「挑戦(失敗する可能性のある行動)」ができる
「自分には価値がある」「自分は大丈夫だ」という自己肯定感は、人間の行動のガソリンです。
このガソリンが空っぽの状態で、「行動しろ!」とアクセルを踏んでも車は動きません。
リーダーの「承認」とは、メンバーの自己肯定感というガソリンタンクを満たす、唯一の給油作業なのです。
タンクが満たされて初めて、メンバーは「失敗するかもしれないけど、やってみよう」という「挑戦」のアクセルを踏めるようになります。
【マインド革命】「結果承認」と「行動承認」と「存在承認」を使い分けよ

「承認」と一口に言っても、実は3つの異なるレベルがあります。
多くのリーダーはレベル1で止まっていますが、組織を強くするのはレベル2と3です。
レベル1 「結果承認」(=褒める)- “You did it!”(成果が出た時だけ)
「契約1件おめでとう!」「タイトル達成すごい!」
これは「成果(結果)」が出たことに対する、条件付きの承認です。
もちろん重要ですが、これだけでは成果が出ない9割の期間、メンバーは承認されず、自己肯定感が下がっていきます。
レベル2 「行動承認」(=認める)- “You are doing it!”(プロセスや挑戦を認める)
「今日もSNS投稿したね!」「アポ取りの電話、勇気出してかけられたね!」
これは「結果」に関わらず、その人の「行動」や「プロセス」、「挑戦した姿勢」そのものを認める承認です。
成果が出ない時期のメンバーにとって、これこそが行動を継続するための生命線となります。
レベル3 「存在承認」(=受け入れる)- “You are here!”(成果も行動も関係なく、ただ「いること」を認める)
「いつもミーティングにいてくれてありがとう」「あなたがいてくれると場が和むよ」
これは、成果も行動も関係なく、その人が「ただ、その場に存在する」こと自体を歓迎し、受け入れる、無条件の承認です。
これが組織の「心理的安全性」の土台であり、最強の「居場所」となります。
99%の組織が「レベル1」で止まっている。チームを強くするのは「レベル2と3」だ
【体験談】「結果承認」オンリーでギスギスしていたチーム
以前、私のチームは「今月のトップ成績はAさん!それに比べて…」という「結果承認」と「比較」ばかりの、殺伐とした組織でした。
成果が出た人だけがチヤホヤされ、成果が出ない人は会議で発言もしない。陰では足の引っ張り合い。
危機感を覚えた私は、全ての「比較」をやめ、「行動承認」に切り替えました。
「Bさん、断られたのにすぐに次アポ入れてる!その行動がすごい!」「Cさん、今日の資料すごく見やすい。ありがとう」
最初は戸惑っていたメンバーも、やがて「成果が出なくても、見てくれている」と安心し、互いの「行動」を認め合う文化が生まれ、組織の空気が劇的に変わりました。
成果ゼロのダウンをも輝かせる! 「行動承認」と「存在承認」の実践テクニック

「レベル2と3が重要なのはわかった。でも、どうやれば?」
難しいことではありません。3つのテクニックを意識するだけです。
テクニック1:小さな「行動」や「変化」を見逃さず、具体的に言葉にする
× 悪い承認:「(何も見てないけど)頑張ってるね!」
◎ 良い承認:「〇〇さん、昨日断られたって落ち込んでたのに、今日もうアポ取りの電話リスト作ってるの見つけたよ。その切り替えの早さ、本当にすごいと思う」
「見てますよ」というメッセージが伝わるように、「具体的に」行動を指摘することが重要です。
テクニック2:「I(アイ)メッセージ」で、あなたの「感情」を伝える
× 悪い承認(評価):「(上から)すごいね」「やるじゃん」
◎ 良い承認(Iメッセージ):「君が『やってみます』って挑戦してくれて、『私』はすごく嬉しいよ」「あなたがチームにいてくれて、『私』は本当に助かってる」
「You(あなた)」を主語にすると「評価」になります。
「I(私)」を主語にしてあなたの「感情」を伝えることで、相手は純粋な感謝として受け取ることができます。
テクニック3:「ありがとう」を組織の公用語にする(最も簡単な存在承認)
「ミーティングに参加してくれて、ありがとう」
「意見を言ってくれて、ありがとう」
「今月も一緒に活動してくれて、ありがとう」
成果が出なくても、行動しなくても、ただ「いてくれること」「関わってくれること」に対して、「ありがとう」を伝える。
これが、誰でも今すぐできる、最強の「存在承認」です。
「承認のマインドセット」が組織(チーム)にもたらす、絶大な効果

あなたのマインドセットが変わり、組織に「レベル2・3」の承認文化が根付いた時、チームは劇的に変化します。
メンバーが失敗を恐れず、自ら「報連相」をするようになる
「失敗しても、リーダーは怒らず、行動を認めてくれる」という心理的安全性が確保されると、メンバーは失敗を隠さなくなります。
「リーダー、断られました!」「こう言われたんですが、どう思いますか?」
隠されていた「失敗」という名の「宝のデータ」が、リーダーの元に集まるようになり、組織は最速で改善・成長していきます。
「教えられる」のではなく「学びたい」という自発的な文化が生まれる
自己肯定感が満たされたメンバーは、ガソリン満タンの状態です。
他者からの強制(指示)ではなく、「もっと成果を出して、チームに貢献したい」「あのリーダーをもっと喜ばせたい」という「内側からの動機(自発性)」で、勝手に学び、勝手に行動し始めます。
メンバー同士が互いに承認し合い、「最強のチームワーク」が生まれる
リーダーの「承認」は、伝染します。
リーダーがメンバーの行動を承認していると、メンバーもまた、仲間の「行動」を承認し合うようになります。
「Aさんのさっきの発言、助かったよ!」「Bさんの資料、ありがとう!」
互いが互いの「行動」と「存在」に感謝し合う組織。これこそが、最強のチームワークです。
【成功談】「存在承認」で復活したエース
私のチームに、かつてのエースだったCさんがいました。
彼はスランプに陥り、成果も行動もゼロになり、ミーティングにも来なくなりました。
以前の私なら「なぜやらないんだ!」と責めたでしょう。
しかし、私は彼に「Iメッセージ」だけを送り続けました。「成果が出なくてもいい。でも、私はあなたというリーダーに、チームにいてほしいと思ってる」と。
3ヶ月後、彼がふらっとミーティングに現れました。
「『いていいんだ』と思ったら、楽になりました」。
彼は、私の「存在承認」によって自己肯定感を取り戻し、その後、以前の何倍も大きな成果を出す、真のエースとして復活してくれたのです。
この「承認」の文化、つまり「心理的安全性」は、オンラインの仕組み作りにおいても中核となる考え方です。
例えば、継続報酬型WEBビジネスのコミュニティ運営においても、メンバー同士が「行動承認」をし合える「場」を設計することが、組織の成功を左右する鍵となります。
まとめ:MLM組織(チームビルディング)において、「承認」は最強の戦略であり、リーダーの究極のマインドセットである

ネットワークビジネスの組織は、ダイヤモンドの原石が集まった場所です。
しかし、多くのリーダーが「結果」という一つの基準で原石を評価し、輝く前に捨ててしまっています。
リーダーであるあなたの仕事は、石ころにしか見えないメンバーを「結果」で裁くことではありません。
彼らが「行動」したこと、「存在」していることに光を当て、磨き、承認し続けることです。
「承認」とは、メンバーの才能の花を咲かせるための「水やり」です。
結果(=花)が出ないからと水やり(=承認)をやめれば、芽は枯れてしまいます。
花が咲くことを信じて、芽(=存在)と茎(=行動)に、毎日欠かさず「承認」という名の水をやり続ける。



