「AさんとBさんが喧嘩して、口をきかなくなりました。」
「Cさんのグループが、Dさんの悪口を言っているようです。」
「リーダーはどっちの味方なんですか? はっきりしてください!」
組織が大きくなると、必ずと言っていいほど発生するのが「人間関係のドロドロ(感情トラブル)」です。
順調に拡大していたはずなのに、気づけば調整や仲裁ばかりに時間を取られ、リーダーであるあなたの胃はキリキリと痛み、精神はすり減っていく。
「みんな仲良くやってくれよ…大の大人なんだから…」
そう嘆きたくなる気持ちは痛いほど分かります。
しかし、残念ながら人が集まれば「摩擦」は物理法則のように発生します。
これを放置したり、間違った仲裁(良かれと思った介入)をしたりすると、組織は真っ二つに割れ、崩壊します。
この記事では、組織を内部崩壊させる「派閥」や「喧嘩」のメカニズムを解明し、板挟みになったリーダーが取るべき「絶対中立のポジショニング」と「鎮火の技術」を解説します。
この記事でわかること
- 【組織論】なぜ組織が大きくなると「派閥」ができるのか?共通の敵を見失った集団の末路
- 【鉄則】リーダーは「裁判官(ジャッジ)」になってはいけない。絶対中立を貫くためのキラーフレーズ
- 【解決策】「犬猿の仲」を「最強のライバル」に変える魔法と、Webシステムを使った感情の隔離術
なぜ、組織が大きくなると「派閥」ができるのか?

そもそも、同じ志を持って集まったはずの仲間たちが、なぜ内部で争い始めるのでしょうか?
その原因は、個人の性格の問題ではなく、「組織の視点」がズレてしまったことにあります。
共通の敵(目標)を見失った時、人は内部で敵を作り始める
人間は「共通の敵」がいる時、結束します。
「貧困から抜け出そう」「業界の常識を変えよう」「他チームに勝とう」。
外に向かってエネルギーが放たれている時は、平和です。
しかし、組織がある程度安定し、外への緊張感がなくなると、エネルギーの矛先は「内側」に向きます。
「あの人のやり方は気に入らない」「私の方が頑張っているのに」。
外に敵がいなくなると、人は内部に敵を作り出し、自分たちのアイデンティティを保とうとするのです。
派閥争いは、組織が「暇」になった証拠でもあります。
「仲良しグループ」は排他性を生む。派閥は組織のガンの初期症状
「気の合う人同士で固まる」。
一見良いことのように見えますが、これは「排他性」の裏返しです。
「私たちって気が合うよね」は、容易に「あいつらとは合わないよね」に変わります。
特定のメンバーだけで秘密のランチに行ったり、隠れてグループLINEを作ったりし始めたら要注意です。
それはチームワークではなく「派閥」です。
派閥は、組織全体の血液(情報と信頼)の循環を止め、壊死させる「ガン細胞」の初期症状だと認識してください。
【体験談】良かれと思って「仲裁」に入り、逆に火に油を注いで組織を割ったMさんの失敗

ここで、優しさからトラブルの仲裁に入り、結果として両方から恨まれて組織を崩壊させてしまったMさんの失敗事例を紹介します。
「話せばわかる」という幻想が招いた悲劇
Mさんのチームで、古株のAさんと新人のBさんが対立しました。
Aさんは「Bは礼儀がなってない」と言い、Bさんは「Aさんは頭が固い」と言いふらしていました。
Mさんは「私が間に入って誤解を解こう」と考え、まずAさんの話を聞きました。
「そうだね、Aさんの気持ちも分かるよ。B君にも言っておくね」
次にBさんの話を聞きました。
「B君の言い分も一理あるね。Aさんには私から伝えておくよ」
Mさんは両方に「共感(同意)」してしまいました。
すると翌日、Aさんは「Mさんは私の味方だと言った!」と言い、Bさんは「いや、僕の考えが正しいとMさんは言った!」と主張。
お互いが「リーダーのお墨付き」を武器に、さらに激しく衝突しました。
最終的に二人は「Mさんは八方美人だ」「信用できない」と結託し(悪い意味で)、それぞれの派閥を引き連れて別の会社に移籍してしまいました。
Mさんは、裁判官の真似事をして「判決(同意)」を出してしまったことで、自らを裁くことになってしまったのです。
リーダーの鉄則。「裁判官(ジャッジ)」になるな、「信号機(ルール)」になれ

人間関係のトラブルにおいて、リーダーが絶対にやってはいけないこと。
それは「どっちが正しいか」をジャッジすることです。
感情論に「どっちが正しい」はない。絶対中立を貫く覚悟
AさんもBさんも、それぞれの「正義」で動いています。
「礼儀」を重んじる正義と、「効率」を重んじる正義。
これは価値観の違いであり、善悪の問題ではありません。
あなたがどちらかに「正しい」と言った瞬間、もう一方は「自分は間違っていると言われた(否定された)」と感じます。
リーダーは常に「絶対中立」でなければなりません。
スイスのように、どちらの陣営にも加担せず、ただ「組織のルール(憲法)」に照らし合わせて淡々と処理する。
感情に寄り添うのは良いですが、事実認定(ジャッジ)はしてはいけません。
陰口を聞かされた時のキラーフレーズ。「で、本人には伝えたの?」
メンバーが「ねえ聞いてくださいよ、〇〇さんが酷いんです」と陰口(告げ口)を持ってきた時。
これに対する最強の返し技があります。
「そうなんだ。で、そのことは本人に直接伝えたの?」
これ一択です。
「いえ、言えてません…」と答えたら、こう返します。
「じゃあ、まずは本人と話そうか。私が間に入ると話がややこしくなるから、当事者同士で解決するのがルールなんだ。それができないなら、この話は聞かなかったことにするよ」
陰口を言う人は、「リーダーを味方につけて相手を攻撃したい」のです。
その手には乗らないと宣言することで、告げ口外交を無効化できます。
「陰口は通用しないリーダーだ」と思わせることが、トラブル予防の第一歩です。
Webシステムが「感情の緩衝材」になる。物理的距離の魔術

人間関係のトラブルは、物理的な距離が近すぎるから発生します。
「顔を合わせるから腹が立つ」「声を聞くからイラッとする」。
この問題を解決する現代の魔法が、「Webシステムの活用」です。
顔を合わせるから揉める。Web完結なら「嫌いな人」とも仕事ができる
Web中心の活動(Zoomやチャット、システム利用)に移行すると、物理的な接触が減ります。
嫌いな相手とも、画面越しのテキストや業務連絡だけで済むなら、感情的な摩擦は起きにくくなります。
「Aさんの顔は見たくないけど、AさんのWeb上の成果(数字)は認めざるを得ない」。
このように、人格と成果を切り離して評価できるようになります。
Webは、感情のクッション材として機能するのです。
成果(数字)だけが評価されるドライな環境が、人間関係のドロドロを浄化する
ウェットな人間関係(好き嫌い)で動く組織は脆いです。
ドライな数字(成果)で評価される組織は強いです。
もしあなたが、人間関係の泥沼から抜け出し、ビジネスライクで健全な組織を作りたいなら、継続報酬型WEBビジネスのような、システム化された環境を導入することを強く推奨します。
システム上では、誰が誰を好きかは関係ありません。
「やるべきことをやった人が評価される」という公平なルールが可視化されることで、くだらない派閥争いは「無駄なこと」として自然消滅していきます。
【体験談】犬猿の仲の二人を「ライバル」に変え、相乗効果で売上を倍増させたNさんの手腕

対立する二人を無理に仲良くさせようとせず、「競争原理」を利用して両方を伸ばしたNさんの見事なマネジメント事例を紹介します。
「仲良くするな。勝負しろ」
Nさんのチームには、営業力抜群だが独断専行型のX君と、管理能力は高いが理屈っぽいY君がいました。
二人は犬猿の仲で、会議のたびに衝突していました。
Nさんは二人を呼び出し、こう言いました。
「お前ら、仲悪いな(笑)。無理に仲良くしなくていいぞ。その代わり、どっちが正しいか数字で決着をつけろ」
Nさんは、チームをXチームとYチームに分け、月間の売上バトルを企画しました。
「負けた方は、勝った方のやり方が正しかったと認めること。いいな?」
二人の目の色が変わりました。
「あいつにだけは負けたくない!」
X君は持ち前の行動力で走り回り、Y君は緻密な戦略でメンバーを動かしました。
互いに相手を倒すために全力を尽くした結果、チーム全体の売上は前月の2倍に跳ね上がりました。
バトルの後、二人はお互いを認め合いました。
「ムカつくけど、やるな」「お前もな」。
Nさんは、ネガティブな敵対心を、ポジティブな競争心へと見事に変換させたのです。
今日からトラブルゼロ!人間関係を泥沼化させない3つの処方箋

リーダーとして、人間関係のトラブルに直面した時にどう動くべきか。
被害を最小限に食い止めるための具体的な3ステップを提示します。
1. 【ガス抜き】まずは個別に話を聴き、感情だけを吐き出させる(共感はするが同意はしない)
不満を持っているメンバーを放置すると爆発します。
まずは個別に呼び出し、話を聴いてください。
ポイントは「共感はするが、同意はしない」こと。
○「なるほど、あなたはそう感じて辛かったんだね」(感情への共感)
×「確かにあの人が悪いね」(事実への同意・ジャッジ)
ただ頷いて「そうかそうか」と聞いてあげるだけで、相手の怒りの8割は鎮火します。
人は「分かってもらえた」と感じれば、それ以上攻撃的にはなれません。
サンドバッグになって、ガスを抜いてあげてください。
2. 【視座の転換】「相手を倒すこと」ではなく「目標を達成すること」に目を向けさせる
ガスが抜けたら、視点を変えさせます。
「で、〇〇さんの本当の目的は何だっけ? あいつを倒すこと? それともタイトルを取って家族を幸せにすること?」
ハッとさせましょう。
「あいつがムカつく」というのは、視点が低くなっている証拠です。
「そんな小さなことにこだわっている場合じゃないよね?」と、本来の目的(ビジョン)を思い出させてください。
共通の敵(貧困や現状)を再確認させるのです。
3. 【隔離】どうしても合わないなら、物理的に会わせない(シフトや担当を分ける)
それでもダメなら、物理的に引き離します。
ミーティングの時間をずらす、チーム分けを変える、席を離す。
「混ぜるな危険」です。
相性の悪い二人を無理に和解させようとするのは、リーダーのエゴです。
「君たちは相性が悪いから、別々に動こう。その方がお互いのためだ」とはっきり告げて隔離してください。
距離さえあれば、共存は可能です。
まとめ:組織は「家族」ではない。「スポーツチーム」を目指せ

「私たちは家族です」というスローガンは美しいですが、甘えや依存、公私混同の温床にもなります。
目指すべきは「プロのスポーツチーム」です。
仲が良いからパスを出すのではありません。
勝つために、最も良い位置にいる人にパスを出すのです。
そこには「好き嫌い」ではなく「信頼」と「役割」があります。
みんな仲良くなくていい。
ただ、同じゴールを目指して背中を預け合える関係であればいい。
このドライだが温かい「大人の距離感」を作れるかどうかが、リーダーの器の見せ所です。




