「リーダー、今月ピンチで…。セミナー代、立て替えておいてもらえませんか？」
「AさんとBさんの間で、製品代の“貸し借り”があったみたいで、今、ものすごく揉めています…」
「今回のイベントの会計報告、なんだか、どんぶり勘定じゃないですか…？」
ネットワークビジネスは、「人」と「人」との、究極の信頼関係で成り立つビジネスです。しかし、その信頼関係を、一瞬にして、そして修復不可能なレベルまで破壊する、最強の“時限爆弾”があります。それが、「お金」の問題です。
「仲が良いから、お金のことは、まあ曖昧に…」。「メンバーを信じているから、細かいルールは決めなくても大丈夫だろう」。リーダーであるあなたの、その“優しさ”や“性善説”が、実は、チームの信頼関係を根底から破壊する“時限爆弾”の導火線に、火をつけているのかもしれません。
この記事は、「お金」という最もデリケートな問題に、どう向き合うべきか悩んでいる、誠実なリーダーのあなたのために書かれました。
この記事でわかること
- なぜ「お金」の問題を放置することが、チームにとって“致命傷”となるのか
- チーム内で絶対に禁止すべき、金銭トラブル直結の「3大NG行動」
- メンバー全員が、お金で揉めず、安心して活動できる「クリーンな文化」を構築する具体的なステップ
なぜ「親しき仲」の「お金」こそが、最強の“時限爆弾”となるのか？
「親しき仲にも礼儀あり」。このことわざは、人間関係の本質を突いています。そして、ネットワークビジネスのように、「友人」「仲間」といった、親密な関係性をベースに活動するビジネスモデルにおいて、「お金」は、他のどんなビジネスよりも、慎重に扱わなければならない“劇薬”なのです。
「友情」と「ビジネス」の境界線：甘えと期待が、客観的な金銭感覚を麻痺させる
相手が、赤の他人であれば、「今月ピンチなので、1万円貸してください」とは、誰も言いません。しかし、相手が、苦楽を共にしてきた「仲間」や、信頼する「リーダー」だと、どうでしょうか。
「この人なら、分かってくれるはずだ」「チームのためなんだから、少しくらい…」という、無意識の“甘え”が生まれます。
頼まれた側も、「仲間を助けたい」という善意から、その境界線を、安易に越えてしまう。この「友情」と「ビジネス」の境界線の曖昧さこそが、客観的な金銭感覚を麻痺させ、トラブルの第一歩となるのです。
“貸し”が“借り”を生む、負の連鎖：たった一つのルーズな対応が、チーム全体のモラルを崩壊させる
リーダーが、Aさんの立て替えを一度だけ許したとします。それを見ていたBさんは、どう思うでしょうか。
「Aさんだけ、特別扱いだ。不公平だ」と感じるか、あるいは、「なんだ、このチームは、そういうの（貸し借り）アリなんだ」と、モラルのハードルが下がります。
犯罪心理学の「割れ窓理論」と同じで、たった一つの小さな規律違反（割れた窓）を放置することが、「このチームでは、お金にルーズでも許される」という“空気”を生み出し、やがては、チーム全体の金銭感覚を、連鎖的に崩壊させていくのです。
専門家の視点：金銭トラブルが、信頼関係に与える“回復不可能な”ダメージ
チーム内の他のトラブル、例えば「意見の対立」や「活動の停滞」は、時間をかけて対話すれば、修復し、むしろ絆を深めるきっかけにさえ、なり得ます。
しかし、「お金」のトラブルは、違います。お金は、その人の「誠実さ」「責任感」「公平性」といった、人格の根幹部分と、あまりにも強く結びついています。
一度でも、お金に関して「裏切られた」「不誠実だ」と感じさせてしまえば、そこに生まれた不信感は、ほぼ修復不可能です。
それは、チームの土台である「信頼」そのものを、根こそぎ破壊する、最も強力な“爆弾”なのです。
あなたのチームは大丈夫？崩壊を招く「3大NG行動」の放置
「うちのチームは、仲が良いから大丈夫」。そう思っているリーダーほど、危険です。仲が良いからこそ、発生しやすい「3大NG行動」があります。これを「放置」することは、リーダーとしての“怠慢”です。
NG1【メンバー間の“金銭貸借”】：友情を破壊する、最も愚かな行為
「今月の製品購入費だけ、貸してくれない？」「セミナー代、今持ち合わせがないから、お願い！」これが、全ての崩壊の始まりです。
金額の大小は、関係ありません。たとえ100円であっても、一度でも「貸し借り」の関係が生まれれば、二人の関係は、対等な「ビジネスパートナー」から、「債権者」と「債務者」という、不健全な“上下関係”へと変質します。
返済が遅れれば、友情は終わり。返済されても、心のしこりは残る。どちらに転んでも、待っているのは、関係性の破壊だけです。
NG2【リーダーによる“立て替え”】：メンバーの“自立”を奪い、「依存」と「不公平感」を生む温床
メンバーの苦しい状況を見かねて、リーダーが「私が出しておくよ」と、立て替えてあげる。それは、短期的な「優しさ」かもしれませんが、長期的な「自立」を奪う“毒”です。
メンバーは、「困ったら、リーダーが助けてくれる」という“依存心”を学びます。さらに、他のメンバーから見れば、「なぜ、あの人だけが、リーダーに特別扱いされているんだ？」という、強烈な“不公平感”を生み出し、チームの和を乱す、最大の原因となります。
NG3【“経費”の不透明性】：イベントや教材費の会計がどんぶり勘定で、リーダーへの不信感が募る
「今回のイベント会費、一人5000円です」。その5000円が、何に使われているのか、明確な会計報告はありますか？「リーダーの交通費も、入ってるのかな…」「この資料代、本当に、そんなにかかるのかな…」
たとえ1円たりとも私的流用していなくても、その会計が“不透明”である、というだけで、メンバーは「リーダーに、搾取されているのではないか」という、疑心暗鬼を抱きます。このリーダーへの不信感は、チーム運営において、致命傷となります。
“親切心”が、チームを壊した
私は、メンバーのことが、家族のように可愛かった。だから、「お金がなくてセミナーに参加できない」というメンバーがいると、良かれと思って、いつも「私が出しておくよ。出世払いでいいからさ」と、立て替えてあげていた。
最初は、感謝されていた。しかし、気づいた時には、チーム内には「リーダーに、どう甘えるか」という、歪んだ空気が蔓延していた。「私だけ、立て替えてもらえない…」と不満を言うメンバー。
「リーダーのお金だから」と、セミナーを無断欠席するメンバー。私の“親切心”は、彼らの“自立”と“規律”を奪い、ただの甘ったれた「依存集団」を作り上げてしまっていたのだ。
パラダイムシフト：「お金の話＝下品」ではない。「お金の話＝信頼の証」である
多くの日本人は、「お金の話」を公の場ですることを、「下品だ」「がめつい」と、タブー視する傾向があります。
しかし、ネットワークビジネスは、紛れもない「ビジネス」です。この“矛盾”する価値観を、リーダーであるあなたが、まず、乗り越えなければなりません。
お金について、明確に、オープンに語れるチームこそが、本物のプロフェッショナル集団だ
「お金」の話から逃げているチームは、所詮、「仲良しサークル」の域を出ません。お金の問題を、真正面から、オープンに、そしてクリーンに議論できるチームこそが、本物の「プロフェッショナル集団」であり、「事業共同体」なのです。
お金の話をすることは、下品なことではありません。それは、チームの信頼関係を守るための、最も誠実な行為なのです。
あなたの仕事は、お金を「管理」することではない。お金が「クリーンに流れる“仕組み”」を設計することだ
リーダーであるあなたが、チームのお金を一元管理し、メンバーの立て替え要求に応じ続ける…そんな属人的なやり方は、必ず破綻します。
あなたの仕事は、お金そのものを管理することではありません。誰もが納得し、誰もが安心できる、クリーンで透明性の高い「お金の“仕組み（ルール）”」を設計し、それを厳格に運用することです。
【実践編】金銭トラブルを“ゼロ”にする。「クリーンなチーム」構築5つのステップ
では、具体的に、どのような「仕組み」を、チームに導入すべきでしょうか。ここでは、金銭トラブルを“予防”するための、5つの具体的なステップをご紹介します。
「クリーンなチーム」を創る5つのステップ
- STEP1【“憲法”を作る】：チームの行動規範（クレド）に、「金銭貸借の絶対禁止」を、第一条として明文化する
まず、チーム全員の総意として、「私たちのチームは、いかなる理由があろうとも、メンバー間の金銭の貸し借りを、絶対に禁止します」という“憲法”を作ります。これを、新人が加入した際に、必ず読み上げ、同意してもらう「儀式」とします。 - STEP2【“会計”の完全な透明化】：全てのチームイベントや共同購入の会計報告は、1円単位で、全員にオープンにする
イベントやセミナーの会費、共同購入の費用など、チームでお金が動く際は、必ず会計担当を決め、その収支報告書（領収書コピー含む）を、Googleスプレッドシートや共有ドライブなどで、メンバー全員がいつでも閲覧できるようにします。この徹底した「透明化」が、リーダーへの、そしてチームへの信頼の礎となります。 - STEP3【“立て替え”の即時精算ルール】：立て替えは原則禁止。やむを得ない場合のルールを明確化する
製品の代理購入や、交通費の立て替えなども、原則禁止とします。やむを得ず発生した場合は、「24時間以内に、〇〇（PayPayなど）で、必ず精算を完了させる」という、即時精算のルールを徹底させます。「今度でいいよ」という甘えは、一切許容しません。 - STEP4【“事業投資”としての教育】：メンバーに「コスト」ではなく「投資」として、自己判断で、身の丈に合ったお金の使い方を教える
「お金がない」というメンバーに対し、お金を貸すのではなく、「なぜ、お金が必要なのか」という、健全な“事業投資”の考え方を教えます。セミナー代は「コスト（出費）」ではなく、「未来の自分への“投資”」。その投資対効果を、自分自身で判断し、責任を持つ。「経営者マインド」を育む、重要な教育です。 - STEP5【“NO”と言える文化】：過度な購入やセミナー参加を強要しない、させない。「断る権利」を、チームの文化として保障する
「お金がない」と言うメンバーに対し、「だったら、借金してでも、このセミナーに来るべきだ！」といった、プレッシャーをかける行為を、チームとして明確に禁止します。メンバーの経済状況を尊重し、「NO」と、安心して言える「心理的安全性」を保障すること。これが、無理な買い込みや借金といった、最悪のトラブルを防ぐ、最強の防波堤となります。
【応用編】リーダーとして、メンバーの“お金の悩み”にどう寄り添うか
ルールを厳格にしても、メンバーから「お金がなくて、活動できません…」という、深刻な相談を受ける日は、必ず来ます。その時、リーダーとして、どう振る舞うかが、あなたの真価が問われる瞬間です。
「お金がない」という相談への、NG対応と、ベストな対応
NG対応：「分かった、貸してあげるよ／立て替えておくよ」（依存を生む）、「それは、君のやる気の問題だ」（詰問）、「じゃあ、辞めたら？」（見放す）。
ベストな対応：まず、相手の苦しい状況に、深く「共感」する。「そうか、辛いな。
話してくれて、ありがとう」。
その上で、問題を「切り分ける」。「その悩みは、支出が多すぎること（家計の問題）かな？それとも、収入が少なすぎること（行動の問題）かな？」。
そして、家計の問題であれば、ファイナンシャルプランナーや、公的な相談窓口を紹介し、行動の問題であれば、お金のかからない活動（SNSの発信、無料セミナーでの学習など）の計画を、一緒に立ててあげる。
リーダーは、お金を貸す「銀行」ではなく、お金の問題を、一緒に解決する「戦略パートナー」になるべきなのです。
そして、本業の収入だけに依存せず、自分の力でキャッシュポイントを増やす「経営者脳」を育てることも重要です。
例えば、元手がかからず、オンラインで資産を築ける継続報酬型WEBビジネスの仕組みを学び、収入源を多様化する視点を持つことも、チーム全体の金銭的な安定に繋がります。
「憲法」が、友情を守った
依存集団と化したチームを解散させた後、私は、新しく集まったメンバーと、最初に「お金の憲法」を作った。「金銭貸借は、理由の如何を問わず、即時除名」。その厳しいルールに、戸惑う者もいた。
数ヶ月後、あるメンバーが、親友でもあるメンバーから「今月だけ、助けてほしい」と、製品購入費の借金を頼まれたという。彼は、悩んだ末、私に相談に来た。そして、二人で、その親友の元へ行き、憲法を見せながら、こう伝えた。
「君のことは助けたい。でも、このルールを破ったら、俺たちは、チームにいられなくなる。だから、お金は貸せない。でも、どうすれば、この状況を抜け出せるか、朝まで、一緒に戦略を考えよう」。
その夜、三人は、お金の貸し借りではなく、友情と、未来のための計画を選んだ。私たちの“憲法”が、チームと、彼らの友情を守ったのだ。
まとめ：信頼の土台は、“きれいなお金”でしか、築けない
ネットワークビジネスという、人間関係そのものを資産とする、美しいビジネスモデル。しかし、その美しい関係は、「お金」という、たった一つの問題によって、いとも簡単に、修復不可能なまでに、破壊されてしまいます。
リーダーである、あなたの責任は、重大です。「お金」という、生々しく、しかし、避けては通れない問題から、決して目をそらさないこと。
メンバーの「友情」や「善意」に、依存しないこと。クリーンで、透明で、誰一人として、お金のことで不安を感じさせない「仕組み」を、あなたのリーダーシップで、今すぐ、構築すること。
