「セミナーの司会、また私がやるの?」
「ダウンラインのクロージング、全部私がやってる気がする…」
「任せたいけど、失敗されると困るし、教える時間があったら自分でやった方が早いし…」
もしあなたが、組織は大きくなっているのに、自分の自由な時間が減っていると感じるなら、あなたは「リーダー」ではなく「便利な便利屋」になっている可能性があります。
断言します。
「自分でやった方が早い」という思考は、ネットワークビジネス(MLM)において最も危険な麻薬です。
その甘い誘惑に負け続ける限り、あなたの収入は頭打ちになり、組織の寿命は尽きます。
この記事でわかること
- なぜ「優秀なプレイヤー」ほど、組織を崩壊させる「ダメなリーダー」になるのか
- 失敗を許容し、メンバーの才能を開花させる「60点合格主義」のマインドセット
- 「丸投げ」と「任せる」の違いとは? 失敗しない権限移譲の5ステップ
なぜ「自分でやる」リーダーの組織は、ある日突然崩壊するのか?

プレイヤーとしては超一流。勧誘もクロージングも完璧。
それなのに、リーダーになった途端に組織を潰してしまう人がいます。
その原因の99%は「任せられない病」にあります。
「あなたの時間」が「組織の成長の天井」になる(ボトルネック)
あなたが全ての業務(ABC、セミナー、相談対応)をこなしているとします。
あなたの時間は1日24時間しかありません。
つまり、組織の売上の上限が「あなたの稼働時間」で決まってしまうのです。
メンバーが増えれば増えるほど、あなたの時間は圧迫され、対応が雑になり、レスポンスが遅れます。
あなたが優秀であればあるほど、あなたが組織の成長を阻むボトルネック(栓)になってしまうという皮肉な現象が起きるのです。
メンバーから「経験する機会(失敗する権利)」を奪う罪
「失敗させたくないから」と先回りして助けるのは、親切ではありません。
それは、メンバーから「失敗から学ぶ機会」を奪う行為です。
自転車に乗る練習をしている子供に対し、転ぶのがかわいそうだからと、親がずっと自転車を支えて走っていたらどうなるでしょうか?
その子供は一生、一人で自転車に乗れるようになりません。
「任せない」ことは、メンバーの成長機会を奪う「罪」なのです。
優秀な部下ほど「ここでは成長できない」と去っていく
指示待ち人間は、何でもやってくれるリーダーを好みます。
しかし、自立心のある優秀なメンバーは違います。
「もっと挑戦したい」「自分の力を試したい」と思っているのに、リーダーが仕事を囲い込んでいると、「ここでは自分の出番がない」と判断します。
結果、あなたの周りには「あなたにおんぶに抱っこの依存型メンバー」だけが残り、優秀な右腕候補は去っていきます。
これが、組織が弱体化するメカニズムです。
9割の人が陥る「任せられない」3つの心理ブロック

頭では「任せた方がいい」と分かっていても、心がブレーキをかけます。
そのブレーキの正体を暴きましょう。
ブロック1:完璧主義 ― 「クオリティが下がるのが許せない」
「あいつに任せると、説明が下手で成約率が下がる」
「セミナーの進行がグダグダになるのが嫌だ」
職人気質のリーダーに多い悩みです。
しかし、あなたも最初から完璧でしたか?
何度も失敗して、今のスキルを身につけたはずです。
今のクオリティを守ろうとする完璧主義が、未来のリーダーの芽を摘んでいます。
ブロック2:不信感 ― 「どうせ彼には無理だ」という決めつけ
「彼はまだ経験が浅いから」「彼女は忙しいから」
勝手に相手の限界を決めていませんか?
これは相手に対する「不信感(信頼していないこと)」の裏返しです。
ピグマリオン効果(期待効果)をご存知でしょうか。
人は「期待された通りの人間」になります。
「無理だ」と思えば無理になり、「できる」と信じて任せれば、期待に応えようと能力以上の力を発揮するものです。
ブロック3:自己重要感の欠如 ― 「頼られなくなるのが寂しい」
実はこれが一番根深い問題かもしれません。
「リーダー、お願いします!」「さすがリーダー!」と言われたい。
自分がいないと回らない状況に、自分の存在意義(自己重要感)を感じてしまっているのです。
仕事を任せて自分が暇になることに、無意識の恐怖を感じていませんか?
リーダーの仕事は「プレイすること」ではなく「プレイできる環境を作ること」だと、アイデンティティを書き換える必要があります。
何でも屋だったSリーダーの過労と組織崩壊

「私がいないと回らない」が、本当になってしまった悲劇
Sリーダーは、面倒見が良く、誰からも頼られる姉御肌でした。新規のABCはもちろん、会場の手配、グループLINEの返信、果てはメンバーの家庭の悩み相談まで、全て一人で抱えていました。「私がやった方が早いし確実だから」。そう言って走り続けていたある日、Sさんは過労で倒れ、1ヶ月の入院を余儀なくされました。Sさんが不在になった途端、チームはパニックに陥りました。会場の予約方法を知る人もいなければ、ゲストへのプレゼンができる人もいません。「Sさんがいないと何もできない」。Sさんが誇りに思っていた「私がいないと回らないチーム」は、文字通り機能不全に陥り、入院中に売上は激減、不安になったメンバーの半数が退会してしまいました。Sさんは病室の天井を見上げながら気づきました。「私はリーダーじゃなかった。ただの便利な『何でも屋』で、メンバーを無能にしていただけだったんだ」と。
勇気を出して手放そう。「任せる」ためのマインドセット改革

Sさんのようにならないために、今すぐマインドセットを変えましょう。
「任せる」ことは、技術である以前に「勇気」の問題です。
「60点で上出来」 ― 最初から100点を求めない
メンバーに仕事を任せたら、最初はうまくいきません。
あなたの基準で採点すれば、30点や40点かもしれません。
それでもいいのです。
「及第点(60点)ならOK」と割り切ってください。
その足りない40点を埋めるために、メンバーは必死に考え、成長します。
100点満点の仕事をあなたが続けるより、60点の仕事ができるメンバーが10人生まれる方が、組織としては圧倒的に強いのです。
失敗は「損失」ではなく、成長のための「必要経費(授業料)」
任せた結果、アポが流れたり、クレームが来たりするかもしれません。
それは「損失」ではなく、人材育成のための「必要経費」です。
その失敗があったからこそ、メンバーは「次はどうすればいいか?」を本気で考えます。
小さな失敗を許容できる器を持ってください。
今の失敗は、将来の大きな成功の糧になります。
自分のコピーを作るのではなく、自分より優秀な右腕を育てる
「自分のやり方をそのままコピーさせよう」とすると苦しくなります。
あなたとメンバーは、個性も強みも違います。
任せることで、あなたにはない発想ややり方が生まれるかもしれません。
「自分を超える人材を育てる」
そのくらいの期待を持って任せれば、マイクロマネジメント(細かい干渉)はなくなります。
実践!安全に仕事を任せる「権限移譲」の5ステップ

いきなり「あとよろしく!」と丸投げするのは、任せることではありません。
それは「放置」です。
メンバーが潰れず、確実に成長するための「権限移譲の5ステップ」を実践してください。
ステップ1:やってみせる(I Do) ― 背中を見せる
まずはあなたが手本を見せます。
「私がやるから、横でよく見ていてね。なぜそうするのかも後で説明するよ」
ポイントは、ただ見せるだけでなく「思考プロセス(なぜ)」を共有することです。
ステップ2:一緒にやる(We Do) ― 補助輪付きで走らせる
次は共同作業です。
「前半は私が話すから、後半のクロージングは君がやってみて」
すぐに助け舟を出せる距離感で、部分的に任せます。
ステップ3:やらせてみる(You Do) ― 口を出さずに見守る
ここが一番の我慢どころです。
メンバーに一人でやらせて、あなたは後ろで見守ります。
途中で口を出したくなっても、グッと堪えてください。
失敗しそうになっても、致命傷でなければ見守ります。
ステップ4:フィードバックする ― 結果ではなくプロセスを評価する
終わった直後に振り返りをします。
「どうだった?」「何がうまくいって、何が課題だと感じた?」
まずは本人に語らせます。
そして、ダメ出しをするのではなく「あの切り返しは良かったよ」と承認し、「次はこうするともっと良くなるね」と改善点を伝えます。
ステップ5:完全に任せる(Trust) ― 責任だけリーダーが取る
一通りできるようになったら、完全に任せます。
「この件は君に全権を委ねるよ。何かあったら私が責任を取るから、思い切ってやってごらん」
この「最後の責任は私が取る」という一言が、メンバーに最強の安心感と勇気を与えます。
何を任せて、何を任せてはいけないのか?

何でもかんでも任せればいいわけではありません。
リーダーが手放すべき仕事と、握っておくべき仕事があります。
任せるべき仕事:定型業務、司会、簡単なプレゼン、集客
マニュアル化できる仕事や、経験値を積める実務はどんどん任せます。
会場予約、受付、司会進行、製品説明。
これらは「若手の登竜門」として、積極的に機会を与えましょう。
任せてはいけない仕事:ビジョンの策定、トラブルの最終責任、謝罪
チームの方向性(ビジョン)を決めること、理念を語ること。
そして、トラブルが起きた時の最終的な尻拭いや謝罪。
これはリーダーの聖域であり、責任です。
ここを放棄してはいけません。
メンバーの「強み」に合わせて役割を配分する(適材適所)
話すのが苦手な人にセミナー講師を任せても苦痛なだけです。
事務が得意な人には管理業務を、ムードメーカーにはイベント企画を。
それぞれの「強み」を見極め、適材適所で任せることで、チーム全体のパフォーマンスは最大化します。
「失敗してもいいよ」とマイクを渡したTリーダー

震える手でマイクを握ったメンバーが、カリスマに変わるまで
Tリーダーは、あえて経験の浅いメンバーK君にセミナーのメイン講師を任せました。K君は「無理です!」と断りましたが、Tさんは「失敗しても俺がフォローするから大丈夫。君の熱意を伝えてほしい」と背中を押しました。当日、K君は緊張で足が震え、噛みまくり、説明もたどたどしいものでした。しかし、Tさんは終わった後にこう言いました。「最高だったよ!特に後半の体験談、心が震えた。説明の上手さより、その想いが一番大事なんだ」。承認されたK君は自信を持ち、そこから猛練習を始めました。場数を踏むたびにK君は成長し、1年後にはTさんを超えるほどのカリスマスピーカーになりました。K君が育ったことでTさんは現場を離れることができ、さらに新しいリーダーの育成に時間を使えるようになり、組織は自動的に拡大していきました。
仕事を抱え込むことは、労働集約型の働き方です。[継続報酬型WEBビジネス]の本質は「レバレッジ(てこの原理)」にあります。人に任せ、ツール(Web)に任せることで、自分の時間は自由になり、収入の天井が外れます。「自分がいなくても回る仕組み」を作ることこそが、真のオーナーシップであり、この記事のテーマである「任せる技術」のゴールなのです。自分でやる美学を捨て、任せる勇気を持った人だけが、真の権利収入への扉を開くことができます。
まとめ:リーダーの最終目的は「自分がいらなくなること」

寂しいかもしれませんが、究極のリーダーシップとは「リーダーがいなくても回る組織」を作ることです。
あなたが現場にいなくても、メンバーが生き生きと活動し、売上が上がり続ける。
それが完成形です。
最高のリーダーとは、存在感が空気のような人
老子の言葉にあります。
「太上の下は、之有るを知るのみ(最も優れた指導者は、人々がその存在を知っているだけである)」
あれこれ指示しなくても、メンバーが「自分たちでやったんだ!」と思える状態。
黒子に徹し、影から支える。
そんな「空気のようなリーダー」を目指しましょう。
あなたが手放した仕事の数だけ、チームは強くなる
仕事を抱え込むのは、もう終わりにしましょう。
あなたが手放した仕事は、誰かの成長の種です。
手放せば手放すほど、あなたの手は空き、より高いレベルの仕事(ビジョン作りや戦略)ができるようになります。
明日、そのタスクを誰にお願いしますか?
今日抱えているタスクリストを見てください。
その中で、一つでもいいので「これは〇〇さんに任せてみようかな」と考えてみてください。




