「結局、私がリクルートしないと、チームは大きくならない…」
「メンバーはみんな頑張っているけど、空回りしている。どう教えればいいんだ…」
「一人でリストアップし、一人でアポを取り、一人でプレゼンする。この孤独な活動に、もうみんな疲れ果てている…」
チームの成長の生命線である、リクルーティング(採用活動)。しかし、その最も重要な活動が、いつの間にか、メンバー一人ひとりの才能と努力だけに依存した、孤独な「個人戦」になっていませんか?まるで、たった一人で広大なフィールドを走り回り、シュートを打ち続ける、孤高のエースストライカーのように。
この記事は、そんな「孤独な狩人」の集団と化したあなたのチームを、連携の取れた「最強の狩猟団」へと変貌させるための、新しい“採用戦略の教科書”です。
結論から言います。これからの時代のリクルーティングは、個人の能力を競う“個人競技”ではありません。全員の才能を活かし、全員で勝利を掴む“チームスポーツ”なのです。

この記事でわかること
- なぜ「個人任せのリクルーティング」が、チームを崩壊へと導くのか
- メンバーの多様な才能を活かし、採用プロセスを分業化する「チーム採用」の考え方
- リクルーティングを“辛い作業”から“楽しいチームスポーツ”へと変える具体的な5つの戦略
なぜ、あなたのチームは「孤独な狩人」の集団になってしまうのか?
多くのチームが、意図せずして、メンバーを「孤独な狩人」へと追い込んでしまいます。その背景には、リーダーの良かれと思っての行動や、チーム内の構造的な問題が隠されています。
罠①【スーパーマンリーダーの功罪】:リーダー一人が優秀すぎるが故に、メンバーが依存する
あなたが誰よりもプレゼンがうまく、誰よりもクロージング力がある。その優秀さは、短期的にはチームを牽引します。
しかし、長期的には「最終的には、リーダーが何とかしてくれる」という、メンバーの深刻な依存体質を生み出します。
メンバーは、自ら獲物を仕留める「狩人」になることを諦め、リーダーが獲ってくる獲物を待つだけの「雛鳥」になってしまうのです。
罠②【システムの欠如】:全員が自己流という名の「車輪の再発明」を繰り返している
チームとして、リクルーティングの「型」や「標準的なツール」が共有されていないと、メンバーはそれぞれがゼロから、我流でやり方を模索しなければなりません。
これは、車輪の作り方を誰も教えず、「各自で車輪を発明して、前に進め」と言っているようなものです。
多くのメンバーは、車輪を発明する前に力尽き、「自分には才能がない」と、フィールドから去っていきます。
罠③【ゼロサムゲーム思考】:仲間を「協力者」ではなく「パイを奪い合うライバル」だと無意識に捉えている
「自分が紹介しようと思っていた知人を、他のメンバーがリストアップしていた…」こうした状況で、仲間を「ライバル」だと感じてしまう思考が、チーム内の協力を阻害します。
「自分のノウハウを教えたら、相手が得をして、自分が損をする」というゼロサムゲーム思考は、チームとしての相乗効果が生まれる土壌を、完全に破壊してしまいます。
リーダーの“勘違い”が、チームの採用力を奪っている
チームが「個人戦」に陥ってしまう根本原因は、リーダーであるあなたの、無意識の“勘違い”にあるかもしれません。
良かれと思って設定したルールや、あなたの成功体験が、皮肉にもチームの採用力を奪っているのです。
勘違い1:「リクルートの数は、個人の責任」という評価制度
「今月、A君は3人リクルートしたのに、B君はゼロだ。B君は努力が足りない」。このように、個人のリクルート数だけを評価の物差しにしていませんか?この評価制度は、メンバーを「協力」ではなく「競争」へと駆り立てます。
ノウハウの共有は行われなくなり、チームはギスギスしたライバルの集団へと変わります。
そして、成果が出ないメンバーは「自分はチームのお荷物だ」と、居場所を失っていくのです。
勘違い2:「自分の成功体験」だけが、唯一の正しいやり方だという思い込み
あなたは、自分の成功体験に自信を持っています。だからこそ、メンバーにも「俺の言う通りにやれば、うまくいく」と、自分のやり方を“唯一の正解”として教えてしまいがちです。
しかし、あなたのやり方は、あなたの個性や人脈だからこそ成功したのかもしれません。内向的なメンバーに、あなたと同じ情熱的なアプローチを強制することは、彼らの才能を殺し、自信を奪うだけの行為になってしまいます。
全員が“ピッチャー”になろうとして、壊れたチーム
私は、野球の経験から「チームのエースで4番」こそがリーダーの姿だと信じていた。だから、メンバー全員に「俺のようになれ!」と、ピッチングとバッティングばかりを教え込んだ。しかし、チームの成績は一向に上がらない。
当然だ。チームには、ボールを捕るキャッチャーも、内野を守るショートも、外野を走るセンターもいなかったのだから。全員がピッチャーマウンドに立ちたがり、誰も守備につこうとしない。エラーが続出し、メンバーは互いを罵り合った。
「なんで捕れないんだ!」「お前こそ、打たれすぎだ!」。私は、チームスポーツの基本を忘れ、ただ自分のクローンを作ろうとした結果、守備が崩壊し、空中分解するチームを作り上げてしまったのだ。
パラダイムシフト:「個人戦」から、全員で勝つ「チーム戦」へ
「孤独な狩人」の集団から脱却するために、リーダーであるあなたは、リクルーティングに対する根本的な考え方を、180度転換させる必要があります。
それは、野球やサッカーのような「チームスポーツ」へと、その競技自体を変えてしまう、革命的なパラダイムシフトです。
あなたの仕事は「最高のエースストライカー」になることではない。「最高の監督」になることだ
あなたが一人でゴールを量産し続ける必要は、もうありません。これからのあなたの仕事は、フィールド全体を俯瞰し、メンバー一人ひとりの才能を見抜き、その才能が最も輝くポジションへと配置し、チーム全体として勝利するための戦略を練る「監督」になることです。
監督の評価は、自身の得点数ではありません。チームを勝利に導けたかどうか、ただそれだけです。
全員がFW(フォワード)になる必要はない。MFもDFもいて、初めてチームは機能する
これが、「チーム採用」の核心です。
ネットワークビジネスのリクルーティングは、たった一人のスーパーマンが行うものではありません。
それは、様々な才能を持つ専門家たちが、それぞれの役割を果たすことで、初めて成功確率が劇的に上がる、連携プレーなのです。
- DF(ディフェンダー):地道なリサーチや、温かいフォローアップで、チームの守りを固める人。
- MF(ミッドフィルダー):お茶会やイベントを企画し、出会いの“場”を創り出し、チャンスの“パス”を供給する人。
- FW(フォワード):パスを受け、情熱的なプレゼンテーションで、ゴール(成約)を決める人。
あなたのチームにいる、話すのが苦手なメンバーは、劣ったFWなのではありません。
もしかしたら、チームに不可欠な、天才的なDFなのかもしれないのです。
【実践編】リクルーティングを“チーム戦”に変える5つの戦略
では、具体的にどうすれば、リクルーティングを「チームスポーツ」へと変革できるのでしょうか。そのための5つの具体的な戦略をご紹介します。
「チーム採用力」を最大化する5つの戦略
- 戦略1【採用プロセスの“分解”と“分業”】:得意な人が、得意な場所で戦う
まず、リクルーティングという一つの大きな塊を、「リストアップ」「アプローチ」「関係構築」「プレゼンテーション」「クロージング」「フォローアップ」といった、小さなプロセスに“分解”します。そして、それぞれのプロセスを、最も得意なメンバーに任せる「分業」体制を築くのです。 - 戦略2【役割の明確化】:それぞれのポジションに名前と誇りを与える
分解したプロセスごとに、具体的な役割(ポジション)を定義します。例えば、「アポイント獲得の天才=アポインター」「出会いの場を創る達人=イベントプランナー」「製品知識の博士=テクニカルアドバイザー」など。これにより、メンバーは自分の強みを認識し、その役割に誇りを持つことができます。 - 戦略3【“共有資産”の構築】:誰でも使える最高の武器を、チームで創り上げる
個人の才能だけに依存するのをやめ、チームの「共有資産」を構築します。最高のプレゼンテーション資料、よくある質問への完璧な回答集(Q&A集)、メンバーの多様な体験談をまとめたストーリーブックなど、誰が使っても一定のクオリティを担保できる“武器”を、全員で作り、磨き続けるのです。 - 戦略4【“チーム戦”の実践】:ABCの法則の徹底と、ケーススタディ共有会
A(アドバイザー:アップラインや他のメンバー)、B(ブリッジ:紹介者である自分)、C(クライアント:見込み客)の3者で会う「ABCの法則」は、まさにチーム戦の基本です。さらに、週に一度、「今、アプローチに悩んでいるCさんがいるんだけど、みんなならどうする?」と、一人の課題をチーム全体の知恵で解決する「ケーススタディ共有会」を開催しましょう。 - 戦略5【評価制度の変革】:ゴールだけでなく、「アシスト」を称賛する文化を創る
契約を決めた人(ゴールした人)だけが称賛される文化を、今すぐやめましょう。素晴らしいパスを出した人(見込み客を紹介した人)、最高のプレゼン資料を作った人(武器を供給した人)、契約後のフォローを丁寧に行った人など、ゴールに繋がった全ての「アシスト」を、ゴールと同じくらい、あるいはそれ以上に、チーム全体で称賛するのです。
【応用編】オンライン時代における、新時代の“チーム採用”
オンラインでの活動が主流となった現代において、この「チーム採用」の考え方は、さらに強力な武器となります。
チームメンバーの多様な体験談を活かした、厚みのあるSNSコンテンツ戦略
リーダー一人のSNS発信には、限界があります。しかし、チーム全体で取り組めば、「20代独身男性の視点」「子育て中ママの視点」「50代からの挑戦」といった、多様な切り口からの情報発信が可能になります。
この多角的なコンテンツ群が、あなたのチームブランドに「厚み」と「信頼性」を与え、より多くの層の見込み客を引き寄せるのです。
チームとしての発信力を高め、オンライン上で資産を構築していく考え方は、継続報酬型WEBビジネスの戦略からも多くを学ぶことができます。個の強みを結集させることが、チーム全体のブランド価値を最大化させるのです。
僕らが「銀河系軍団」になった日
ピッチャーだけのチームが崩壊した後、僕はメンバー一人ひとりと面談し、それぞれの「得意なこと」と「好きなこと」を徹底的にヒアリングした。話すのは苦手だが、データ分析が好きなA君を「戦略分析官」に任命。
人見知りだが、文章を書くのが得意なBさんを「公式ブログ編集長」に。そして、最も話がうまいC君を、プレゼンだけに集中する「エースストライカー」に任命した。最初は戸惑っていたメンバーも、自分の得意なフィールドで貢献できることに、次第に喜びと誇りを見出していった。
Bさんが書いた感動的なブログ記事をきっかけに、A君が分析したターゲットリストにアプローチし、最後はC君がプレゼンで決める。
その完璧な連携プレーで初契約が生まれた時、私たちは、ただの個人の集まりではない、スター選手がそれぞれの場所で輝く「銀河系軍団」になったのだと確信した。
まとめ:最強のチームは、最強の“採用”チームである
リクルーティングは、孤独で、辛い個人戦ではありません。それは、メンバーの多様な才能を発見し、組み合わせ、勝利という名の感動を分かち合う、最高にエキサイティングなチームスポーツです。
リーダーであるあなたの仕事は、一人で全てのゴールを決めることではありません。チームのメンバーが、それぞれのポジションで、最高の輝きを放てるように、その才能を信じ、最高のパスを送り続けることです。さあ、孤独な狩りを終わりにしましょう。


